未完成恋愛論

「十年」

「・十年」

十年とは出口のない檻に入っているよう
君と離れたその日から、ずっと続いて

本当の気持ちは
暗い海底に沈んでいる

発作的病的でもある
会いたい衝動がこの胸を苦しめている

天使になった君へ
その声も温もりも僕には分からないけど
いつか君がいる場所へ行くよ

記憶は写真のようにいつも正確じゃなくて
過ぎてゆく時間に、すべて奪われる

我ままも口喧嘩も
濃い霧が隠しているよう

一番愛した君へ
手を伸ばし触れようとするけど必ず
新しい太陽が瞼の邪魔をする

失われて理解する 人はこの重さを
愛だと気が付いたから

天使になった君へ
その声も温もりも僕には分からないけど
いつか君がいる場所へ行くよ

十年とは出口のない檻に入っているよう
君と離れたその日から、ずっと続いて

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