向日葵に恋をする。







きれいでしょ?





君は‥
‥誰‥‥‥?

舞い上がる花びらの中に、
人が、いた。

少女は、
寝転がる俺を見下ろすかたちで、
俺に話しかけてきた。


「君、名前は?」

「日向 鳴海」

「ナルミ‥ってどうゆう漢字?」

「音が鳴るの[鳴]に海」

「で、あんたは?」

「あたし?」

「他に誰がいるんだよ」

「あたしはねー‥」

少女は屈んでいた姿勢から、
空を見上げる様に立ち上がった。
何をし出すのだろうと俺も起き上がった。
少女は暫く向日葵を眺めていた。

「あたしは‥ひまわり」
「‥は?え?名前?」

「文句ある?」

「‥別に」


ひまわりと名乗るこの少女は、
人間ではないらしい。
彼女曰く、
「あたしは向日葵の妖精なんだ!夏だけこうやって人間の姿になれるの!」
‥だそうだ。
甚だ馬鹿馬鹿しい話だが、
どうせ死ぬんだから、
最期くらいこんな馬鹿話でも信じてみるか。


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