向日葵に恋をする。
*3*



海沿いの丘の上にある、
大きな木造建築物が、
父方の祖父母の家である。


「あらあ鳴海!よく来たねえ」
戸を開けると祖母が笑顔で迎えてくれた。
祖父は出かけているらしい。
「ばあちゃん、久しぶり」
いつぶりだか忘れたが、
祖母に会うのは本当に久々だった。
だが祖母のことは嫌いではない。
嫌う理由がないからだ。
「まあ、もうこんなにかっこよくなってえ~」
俺がこの町に死にに来たなどとは知るよしもない祖母は、
やけにテンションが高かった。
祖母に荷物を預け、
ふと外に目を向けると、
庭に向日葵が咲いていた。
俺が向日葵に気づいた事を知ってか知らずか祖母は、
今年初めて植えたのよ、かわいいでしょう。
と言っていた。
特に何も感じなかった俺は、
やっぱりひねくれているんだろうか。


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