向日葵に恋をする。


疲れていたはずなのに、
六時には既に目が覚めていた。
都会の朝ってゆーのは、
車やバイクのエンジン音で不快なのだが、
田舎の朝は、
蝉と雀のみ。

祖母の用意してくれた朝食を食べ、
ノートを片手に家を出た。


確か、
裏口を真っ直ぐ進むと原っぱがあった気がする。
そこは祖父母の家と同様に、
海面より少し高い場所にある。
まあ海に繋がっているわけなのだが。
そこからは海が一望できたはずだ。

なんてことを考えていると、
あっという間に原っぱに着いた。

空が広い!

俺はおもむろにノートを開き、
そのまま後ろに倒れ込んだ。
ノートは、
数ヵ月前から書き貯めておいた遺書である。
死ぬ前に、
ひとりでゆっくり読み返そうと思っていたのだ。


死ぬなら、
ここがいいかもしれない。


ここは確か父がプロポーズをした場所だ。
復讐にはぴったりではないか。

不思議と笑みが零れる。


その時だった。


一陣の突風が俺の髪をなでた。

黄色い花びらが目の前を通る。


向日葵‥?



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