恋する雨
雨と傘
『はぁぁあ~。』
盛大にため息を付いたあたし、皆川春子、16歳。
気分も最上級にブルーだ。
部屋の窓から見上げる空は、どんより曇っていて
ベランダの手すりに打ち付けられる水しぶきを目で追った
ガラスの一枚向こうで奏でられる、何とも言えない雨音に耳を済ませては、またため息を付いた。
これだから、雨ってキライなのよ・・・
雨なんか降ってたら、外なんて出る気になんないし。
青いはずの空は、濁った灰色で塗り潰されていて窮屈そう。
何より、このジメジメと降ってる雨が嫌。
見てるだけでも嫌になってくる。
第一、外に出て服が雨に濡れるのもイヤだし
靴が泥水まみれになるのもイヤ。
傘を差してると歩きにくくなるのもイヤだし
雨のせいで湿った、土やアスファルトのニオイもキライ。
雨が降ってて、良かったためしなんて、一度もない。
考え始めるとキリが無くて、またため息をひとつ零した