恋する雨
あたしの声に反応して、その男は顔を上げた
『あぁ、やっぱり木村だ。
あんたこんなトコで何やってんの?』
ソコに居たのは、同じクラスの男子、木村だった。
「あれ、皆川じゃん。
皆川こそ、雨ん中、どっかお出かけ?」
『あたしはコンビニにちょっと。
っていうか、傘も差さずにアンタは何をやってんの?』
呆れた目をして近づくあたしに、木村は満面の笑みを浮かべて、ある一点を指差した。
『そこになに、
あ・・・。』
木村の指の先には、背の低い植木。
そしてその植木の下には、少し大き目の黒い傘と、またその下に、ダンボールがあった。
中を覗き込むと、少し寒そうに身を寄せ合う、3匹の子猫――