恋する雨
「偶然通りかかったんだけどさ。
いくら植木の下でも、濡れちゃうと思ったから。」
そう言って、ニカッと笑った。
そんな木村の髪からは、空から降り注ぐ雫が耐え切れずに、ポタポタと垂れまくっていた。
はぁっと、あたしはため息をまたひとつ漏らして
『木村、お人よしも大概にしときなね。』
濡れたときに念のために持ってきていた大き目のタオルをショルダーから取り出し、木村の頭をガシガシと拭いた。
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