12color


あの日、貸してくれた
帽子。

それは、未だに
私の手元にある。

何度も返そうとは
するんだけど、
なかなか返せずにいて


木下くんも予備のが
あるからって言って
取り戻したりはしない。




実は手放すのが
怖いんだ。


あの帽子は
あの頃、私たちを
繋いでいた唯一の物だったから。



それは、誰にも話してない
私たちふたりの秘密ごと。









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