12color


なんだか、急に
寂しくなり、目元が
熱くなる。


視界がどんどんと
ぼやけだした。


私、泣きそうなんだ。

そう理解した私は、鞄から
ある物を取り出した。
それは帽子で、あの時の帽子だ。


私が持ってることで、
彼の温もりは薄れて
しまっていたけれど
これを持っていると
不思議と安心出来た。

その帽子を、深く被る。



泣きそうな顔を誰にも
見られないように、
気付かれないように、
私は帽子で顔を隠した。



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