12color
『俺の帽子だ。』
手に持った帽子を眺め
木下くんが呟いた。
私はなんだか恥ずかしく
なってしまい、
すぐに窓へと視線を移した。
『となり、い?』
木下くんはそう言うと
私が返事をする前に
隣へと座った。
『どうかした?』
顔を覗き込まれる感じで
私を見ようとする
木下くんの行動に私の胸は
高鳴った。
「どうも、しないよ?」
『目、赤いのに?』
「‥。」
どうやら木下くんには
全部お見通しのようだった。
『最近、元気ないなーとは思ってたんだ。春田らしくないなって。』
「‥。」
『あんまり、笑ってなかったし。もしかして具合悪い?』
心配そうに問いかけられた
私は首を横に振る。