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「大丈夫だよ。別に、」
『大丈夫じゃなさそうだから、心配してんの。』
少し強い口調になった
木下くん。
私のほうは見ずに、
手に持っている帽子を
いじっていた。
『俺に、相談できない?』
そしてもう一度
強い瞳で私を見て言う。
私は戸惑った。
木下くんに、
木下くんの相談を
する訳にはいかない。
柚木さんの話だって
木下くんの大切な子なんだから、出来ない。
好きっていいたい。
この合宿を
できるだけ近くで
過ごしたい。
だけれど、
それが許されるのは
私じゃないんだ。
「木下くんには‥相談なんて出来ない。」
私は小さな声で
言った。