さ く ら~君に会う日まで~



そして、それから何も無かったように、出産日が近づいた。


「もうすぐだね!楽しみだな~♪」


「あぁ、だな」


「………どうしたの?」


麻裕は怖くないのか?


「麻裕…怖く…」


「怖いよ。とても…怖いよ…。でも、私達の赤ちゃんが産まれるんだよ?こんなチャンスを逃せないよ…。だから、大丈夫」


大丈夫じゃねえクセに…


怖ぇんだろ?


俺だって…


「俺だって、麻裕がいなくなると思うと怖ぇよ。すんげぇ怖い。俺、麻裕がいなくて大丈夫かも分かんねぇ…」


「大吾…私もっ。いなくなって、大吾に忘れられるのが…もぅ会えないのが…すべて怖い!でも、これも人生なの…だから…仕方ないよ…」


「麻裕…今日は語ろう。二人で。勿論…全てを言うんだ。」


そうして俺はすべて言った。


朝まで二人で、泣きながら言った。


俺は、今でも覚えているよ。


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