HAPPY
友人と別れて私は街を歩いていた。
途中、大きな公園に入ってベンチに据わる。少し先に子供連れの親子が楽しそうに遊んでいた。
どれくらいの時間なのか、その親子を見て私は鞄の中から携帯電話を取り出し、発信ボタンを押した。
「なんだ」
何回目かのコールで出た彼の反応はいつも通りだった。
「和也さん、花です!!」
「言われなくても登録してあるからわかる」
用が無いなら切るぞ、と言われ慌ててありますっ、と答えると彼は静かに溜め息を吐いて待ってくれた。
「今日の夕飯は何が食べたいですか?」
一瞬、携帯の中の音が消えて沈黙ができた。
「何でもいい。つーか、毎日毎日そんなことで電話するな」
仕事あるから、と言って一方的に切られてしまった。