名前違いのキミへ
「相川。」
ふと後ろに石崎くんの声がした。
「石崎く…?」
「後ろ向かないで。目ェ閉じて。」
目を閉じると、首に石崎くんのヒヤリとした手を感じた。
「もう目、開けていいよ。」
見ると首に、十字架のペンダントがついていた。
よく見ると、石崎くんの首にも同じ物が。
彼はまたもニヤリと笑った。
「コレは俺達だけの秘密な。」
そう言って石崎くんは帰っていった。
胸がきゅうっと縮れる思いがする。
こんなこと、やっちゃダメだって分かってるのに…。
石崎くんと私だけの秘密。
私達だけしか知らない。
その響きが嬉しくて、苦しくて…。
どうして私をいつもこんな気持ちにさせるの。
やっぱり君はズルい…。