伝えたい事がある


「・・・そんなわけないじゃん。テストでヤバいって言ったっていつも夜遅くまでテレビ見てさ。」

「その後に勉強してるのよお。」

「・・・もういいからさあ。朝からイライラしっぱなしなんだけど。」

「あ・・・っ ごめん。お、お姉ちゃん先に行くから。じゃあテスト頑張ってね」


お姉ちゃんはそう言ってはにかむと少し早歩きであたしを置いて行った。


「・・・はぁ。」


綺麗に生まれてきたのも授業に出ただけでどんな難しいことも理解できちゃうのもお姉ちゃんが悪いわけじゃないけど、あたしはそれを自慢して生きられる程良く出来た人間じゃないし。だからと言ってこんな自分が好きな訳じゃない。

軽く溜息をついて、また歩き出すと鞄の奥から携帯の着信音が聞こえた。


「もしもし?」
   
「あ、咲陽ちゃん?池谷だけど・・・。近くにアヤいる?」

「お姉ちゃん?さっき大学に行きましたけど・・・。」

「そっか。」

「どうかしましたか?」


何かあったのかと、不安になってあたしは一回道の端に止まった。


「いや・・・。ちょっと電話に出てくれなくてね。急用でさ。」

「あたしからもかけてみましょうか?」

「大丈夫。心配かけてすまなかったね。」


そうしてて池谷先輩から電話は切れた。


「いくら急用でも電話がかかんないくらいで・・・。」


先輩の過保護ぶりに少し驚きながらもあたしはまた歩き出した。



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