伝えたい事がある
「よろしく。話しズレたけど。俺、咲陽ちゃんの大学に今日用事があるんだ。歩きながら話さない?」
池谷先輩がそう言ってあたしは立ち止まって随分話し込んでた事に気付いた。
「いいですよ。あたしの大学に?何かあったんですか?」
池谷先輩はお姉ちゃんと同じ大学。お姉ちゃんは某国立大学に進んだから、池谷先輩も相当頭が良いことになる。
「咲陽ちゃんの大学の奴にちょっと用があってね。」
「そうなんですか。あ、お姉ちゃんあれから電話に出ました?」
「いや。まだ話せてないんだ。だからその手紙を渡して貰おうと思って」
「…お姉ちゃんと喧嘩でもしたんですか?もしそうなら、しっかり捕まえておかないと逃げられますよ。」
「いや、喧嘩ってゆうか…。まぁそう言われればそうなのかもしれないけど。それにしても咲陽ちゃん、随分俺たちの事心配してくれてるんだね。アヤのこと嫌いだったんじゃないのかい?」
池谷先輩にはお姉ちゃんがあたしのコンプレックスだと伝えてある。勿論、嫌いだとも。
「嫌いですよ。でもそれ以前に池谷先輩とお姉ちゃんが喧嘩したらあたしに迷惑かかるのが目の当たりじゃないですか。現に今もこうやって。」
とあたしはさっき池谷先輩に貰った手紙を見せて行った。
「…まぁ。そうゆうことになるのか。」
あたしが「迷惑がかかる」とバッサリ言ったのに対して気にはしてないような池谷先輩。やっぱり上手く掴めない人。
「あ、俺用事があるのあっちなんだわ。だからここで。」
池谷先輩はあたしの学部がある方と逆を指差して言った。
「そうですか。じゃあここで。手紙は責任を持って渡します。」
「頼んだよ。」
池谷先輩は爽やかに微笑んで歩いて行った。…そういえばあたしの学部がこっちにあること知ってる?ってことは来た事があるってことか。