ガラスのタンポポ
発狂
奏来が変わった。


前にも増して笑うようになったり時には怒ったり、拗ねてみたり。


いろんな表情を見せるようになった。


「抱っこして?」


と、せがんだり。


「おばあちゃんのお布団干したいんだけど、重くたくて大変なの。翔ちゃんも手伝ってくれる?」


「一緒にやきそばパン作ろうよ?」


それまで、たった1人でやってきた事を、甘える事、頼る事、一緒に何かをやる事を覚えた。


だけどそれは、オレに対してだけではなく、兄貴に対しても、なんだけれど。


電話をする回数が、前にも増したようだ。


一度だけ、奏来のケータイの発着信履歴を見た。


夜の8時頃、決まってかかってくるらしい兄貴からの電話と、時々発信されてる奏来からの電話。


ガラスのタンポポが虚しく見えた。


けれど、変えたのはオレだ。


奏来に手を差し伸べられたのはオレだから、だからオレも奏来の隣で笑ってられる。
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