ガラスのタンポポ
悲鳴の主はオトばあだ。


家にあがってオトばあの部屋へ行くと、散々な始末だった。


至るところにティッシュが散らばり、タンスから引っ張り出された服が散乱していて。


車椅子から転げ落ちたオトばあは、布団をかぶり、耳をつんざくような悲鳴を上げている。


「…オトばあ?」


「ヒィーーーッ!!」


おばさんも奏来も手がつけられないらしく、訳のわからない突然のオトばあの様子にうろたえている。


「奏来、翔ちゃんと行ってきなさい」


奏来は何も言わずオトばあの背中を布団の上からさすった。


「おばあちゃん、大丈夫だよ?何も怖くないよ?」


「ヒィーーーッ!!」
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