ガラスのタンポポ
おばさんに送られ、商店街へ向かった。


お好み焼き、リンゴ飴、金魚すくい、型抜き、フレンチドッグ。


手に持ち楽しむ行き交う人は、どれも笑顔で。


場違いのオレ達を嘲笑っているようにも思えた。


そんなひねた考えを持つのは、兄貴がいるからだろうか。


兄貴が奏来を救ったからだろうか。


「奏来、キレイなスーパーボールがあるぞ?やってみろよ」


促されるまま奏来はポイを持ち、スーパーボールをすくい始めた。


何枚かやってみたけれど1つもすくえない。


結局、おまけしてもらったピンクとブルーと白のマーブル模様のスーパーボールを2つだけもらい、屋台を後にした。


河川敷から見た花火が消えていく様を見て、あぁ、奏来の涙みたいだな、なんて思ったりした。
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