ガラスのタンポポ
道標
2学期が始まったと同時に、秋がすぐそこまでという受験生独特の焦りの雰囲気が教室のあちこちを漂う。


オレと奏来は、志望している福祉系の専門学校への合格ラインまで余裕で、相変わらずな日々を過ごしていた。


つまり、オトばあと格闘していた。


あの夏祭りの日以来、オトばあは、すっかり生気というものを失ったみたいに、ほとんど食事を摂らなかったり、言葉を発しなくなったり、話かけても瞳が動く事はない。


まるで、老いた人形だった。


そんなオトばあと向き合っている奏来は、懸命で見ていると痛々しい程だった。
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