ガラスのタンポポ
その週、奏来が学校に来る事はなかった。


抵抗力のないオトばあは風邪をこじらせ、土日が明けると私立病院へ入院する事になった。


肺炎だった。


入院の準備、手続きのためか、奏来は今日も休むと言ってそれきりメールもない。


授業を終えると、オレは真っすぐ市立病院へ足を向けた。


ケータイを鳴らすと5回コールで奏来の声が聞こえた。


『もしもし…』


「奏来?オトばあ、何号室?」


『えっと…西病棟の611号室』


「わかった。今から行く」


電話を切ると自販機で缶コーヒーを2本買い、病室へ向かった。


開け放たれた4人部屋の病室に、


“内海 オト”


と、ある。


「失礼します…」


小さく言い部屋へ入ると、窓際のベッドにオトばあとおばさん、奏来を見つけた。
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