ガラスのタンポポ
「おばあちゃんの風邪がうつったのかも…。喉が痛いの…」


「そうか。まぁ、いいや、無理すんな。で、少し寝ろ」


「でも…お茶碗洗いたいし、おばあちゃんの布団もたたまなきゃならないし…」


「そんなの後でもできるだろ。まずは睡眠。少し寝れば頭もスッキリするから、さ」


奏来の小さな背中を押し、部屋のベッドまで連れて行った。


寝かせて、オレはベッドの脇で奏来の手を握る。


「オレはここにいるから。安心して寝れよ」


「うん…。おばあちゃん、大丈夫かな…」


「病院に入ったんだ。医者がついてんだから問題ないだろ。また明日様子を見に行けばいい」


「翔ちゃんも一緒に行ってくれる?」


「あぁ、行くさ。さぁ、おやすみ」


「うん…。あのね、翔ちゃんも一緒に寝てくれる?」


「オレ?」


「うん。抱っこして寝てほしいの」


「いいよ」


ベッドに潜り込み、少し痩せた奏来の顔を見ると、安心したように目をつむり、しばらくすると眠りについた。


オレも奏来を抱いたぬくもりが心地良くて、いつしか眠りに落ちていた。
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