ガラスのタンポポ
夕方まで散々騒いで、解散する頃になると、


「吉永くん、エリちゃん、ありがとう。じゃあね、バイバイ」


と、いつまでも2人の背中を見送っていた。


「はぁー…。喉渇いちゃった!ねぇ、翔ちゃん、前に行った噴水の公園、連れてって?」


この時間になると秋風が冷たく、外だと体が冷える。


「風邪ひくぞ?」


「ヤ。あの公園に行きたいの。ね、いいでしょ?」


電車に乗り、暗くなりかけた公園へ足を向けた。


オレは自販機でホットココアを買い、2人でベンチに腰かけた。


奏来は鞄からケータイを取り出し、ストラップになったガラスのタンポポを見つめる。
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