ガラスのタンポポ
オトばあの四十九日も過ぎ、兄貴の言った1ヶ月もとうに過ぎた。


奏来は今頃、どこで何をしているのだろう。


真之やエリに聞かれても答えられない自分が情けなかった。


毎日が枯れたようだった。


冬に近づく落葉樹の落ち葉を見ては、あぁ、オレみたいだな、なんて思ったりした。


何故、届かない?


こんなに切なく苦しい想い。


何故、返ってこない?


奏来の声。


オレの名を呼んで飛び込んで来いよ、奏来…。


今日も奏来のいるはずの左側が空いていて。


季節のせいだけじゃない、寒くて仕方ない。


欲しくてしょうがない。


会って長い髪に触れ、抱き締めてキスをしたい。


もう叶う事はないのだろうか…。
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