ガラスのタンポポ
「あのな、翔。今の奏来に必要なのは、一緒に苦しみ悲しむ人じゃなく、見守りまるごと包んでやれる人間だ。それは翔、お前じゃなく、俺だと思う」


…悲しい。


悲しいけど兄貴の言う通りだ。


オレはジタバタもがくだけで、奏来を見守る事も、包んでやる事も、養う事もできやしない。


いつだって、今だって無力なんだ…。


兄貴を越える事はできないのだ。


奏来を悲しんでるのか、自分を哀れんでいるのか。


間違えちゃいけない。


わかってるのに、気持ちの整理がつかず、何に対しての涙だかわからずただひたすら泣いた。
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