ガラスのタンポポ
「そんなんじゃ、いつまでたってもチビのまんまだぞ」


「いいもんっ。翔ちゃんこそ、そのデッカイ体にやきそばパン1個じゃ足りないんじゃない?」


「弁当は2時間目終了後に胃袋におさまりましたー。これは、おやつ。で、帰りは真之達とラーメン食いに行くの。奏来も行かね?」


奏来は光の止まった長い睫毛を少し伏せて、


「ううん。…行かない…」


いつものように、オレの誘いを断る。


「オトばあか?」


「うん…。おばあちゃんといる…」


「そっか。じゃ、オレも奏来ん家に行こっかなー」


奏来は立ち上がり、オレの手から介護書を取り戻すと、


「ダメ。翔ちゃんは吉永くん達と行っといでよ」


食べかけのおにぎりを包んで、さっき読んでいたページまで本をパラパラとめくった。
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