ガラスのタンポポ
申し訳なさそうに俯く奏来の頭にポンと手を置き、


「そろそろオトばあ寒くないか?」


と、話を切り替える。


「あ、うん。おばあちゃん、寒くない?」


「ハイハイ、大丈夫ですよ」


奏来はオトばあの手を握り、体温を確かめると、


「家に帰ろっか?」


オトばあの膝に乗ったタンポポのかんむりをブランコの上に置き、車椅子を押し始めた。


首飾りをした奏来は、今日も化粧なんかしてないのにきれいな横顔だ。


奏来はいつか恋をするのかな。


もうしてる?


就職して、結婚して、子供を産む?誰と?


考え出すとその事ばかりが頭の中をループする。
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