ガラスのタンポポ
いつもは他愛ない…そうだな、オトばあの話なんかしたりするのに、どうも調子が狂う。


奏来は恥ずかしそうに始終下を向いてるし、ミュールのせいか時々つまづくし。


腹と足出して寒くねぇのかな…。


あ、でも今さら引き返すとか、無理、無理、無理!


とりあえず駅に向かい切符を買って電車に乗せる。


いつもはそうじゃないのに人目が気になる。


オレの奏来だぞ、ジロジロ見るなッ!


叫びたいのを我慢して街まで出た。


土曜の昼近く、街は明るく賑やかだ。


こんな風に行き交う人達のように奏来も明るく振る舞ってくれたら。


「奏来、腹減らない?」


「…うん」


「ファミレスでも行くかっ」


ちょっと小洒落たカフェなんかに連れて行こうかとも思ったけど、今の奏来じゃ緊張増大だ。
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