ガラスのタンポポ
奏来は薬指にはめられたブカブカの指輪を、何度もかざして満足気に笑った。


ガラスのタンポポより輝く奏来。


隣でながめているだけで満たされた気分だった。


「あ、あれ…?」


「どうした?」


「あのね、噴水の向こうの背広の人達、聖ちゃん…じゃないかな?」


奏来の指輪のはまった指の先に3人の男。


会社の同僚と笑い合っている兄貴がいた。


「行ってみようか?」


「でも…お仕事の邪魔じゃない?」


「挨拶くらい、時間取らねーだろ」
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