ガラスのタンポポ
別に兄貴になんて会いたくなかった。


でも奏来がこの指輪を早く誰かに見せたがってる気がして、手を引いて兄貴を追った。


「兄貴!」


「おっ、翔。奏来…?」


「聖ちゃん!」


あ。


まただ。


奏来は繋いでいた手をするりとほどく。


「あのねっ、聖ちゃん!」


「天宮、この子は?妹?」


同僚が奏来を見て兄貴に問う。


「あぁ、弟の翔と、幼なじみの奏来。どうした?奏来。今日は2人で?オトばあは?」


「うんとね、翔ちゃんが息抜きに、ってお出かけにしてくれたの。でね、ガラスのタンポポ買ってくれたの!」
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