ガラスのタンポポ
「あの…天宮くん…」


顔を上げると、さっき真之の口から出た橘が前に立っていた。


「オス。おはよ、橘」


「あの…話したい事があって。昼休み、時間もらえるかな?」


「ん?まぁ、用件だけならいつでも」


「じゃあ、昼休み屋上で待ってる、ね」


それだけ言い残し、橘は自分の机へ戻った。


退屈な授業、早弁、授業。


オレはやきそばパンとコーヒー牛乳を買って、昼休み屋上へ向かった。


いくつかのグループがおのおの弁当を広げ、楽しそうに会話に華を咲かせている。


フェンスにもたれかかった橘の後ろ姿を見つけて近づくと、ぎこちない笑いを作り、橘が振り返った。


「ごめんね、急に呼び出して」


「話って?てか、オレ、先にパン食ってもいい?」


「どーぞ」


屋上のコンクリートに座り込み、やきそばパンとコーヒー牛乳を交互に流し込んだ。


「おしまい?」


「うん、食った」
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