ガラスのタンポポ
「おはよっ♪聖ちゃん、翔ちゃんっ!」


兄貴と2人で玄関を開けると、ブルーのティアードスカートに白いTシャツ、またおばさんに巻かれたのか、くるくるの髪に軽くメイクした奏来が出迎えてくれた。


「奏来、今日はおめかしか」


「うんっ♪」


「かわいいな」


兄貴が奏来の長い髪の毛先を指に巻きながら目を細める。


嫌だな、モヤモヤする。


切なさと苦しさの混じったようなあの重たい感情が沸き上がる。


それを何とか打ち消そうと、奏来と兄貴の間に


「弁当は?」


と、割って入った。


「フフッ♪翔ちゃんいやしんぼう!たーっくさん作ったんだよ?お母さーん、聖ちゃんと翔ちゃんが来たよー。早くぅ」
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