ガラスのタンポポ
「翔ちゃん、写真撮ってくれる?」


奏来に言われて、海をバックにオトばあをおぶる兄貴を撮った。


それから奏来と2人で貝殻拾って。


車椅子に戻ったオトばあは兄貴の手を離さなくて。


あぁ、来て良かったんだな。


オレも来て良かったんだな、と思う。


だってキラキラしてる奏来を見られる。


オトばあが喜ぶ姿を見て笑う奏来は。


やっぱり愛しくて、誰より愛しくて。


兄貴も同じように心を満たしているのだろうか。


波打ち際ではしゃぐ奏来を眩しそうに見つめていた。
< 99 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop