黒紅花
「うん、腰痛がひどくて・・・
 
 ひさぎ、あのね・・・
 
 今日は、できれば夕食前
 には帰って、買い物には
 ついて行ってあげたいの」

ひさぎの横顔が曇る。

悲しい少年の横顔。

「ひさぎ、ごめん・・・
 
 やっと会えたのに、もう
 別れる時の話をするなんて
 
 ・・・ごめん」

「謝る事ねえよ、夕方まで
 まだまだ時間あるじゃん
 映画、先に観た方がいいな」

「うん、私観たかったんだぁ
 恋愛ものだけど、ひさぎは
 退屈しないかな?」
< 132 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop