黒紅花
「違う、そうじゃない
 迷惑なんかじゃないよ」

「だったら、俺の事
 紹介できる? 
 
 お前の家族に・・・」

強くなる、ひさぎの声。

紹介・・・できない。

「ひさぎ・・・?」

「無理、だろう?
 バス停まで送るよ
 
 メットの紐
 しっかり留めろよ」

私は、ヘルメットを被り
あご紐を締めた。

そして、貴方の寂しげな
背中にそっと身を寄せた。

さっきまでとは違う感覚

こんなにも近くに要るのに
ものすごく遠い・・・

私の瞳に溢れる涙・・・
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