黒紅花
いつものバス停の傍

停車したバイクから
私は降りる。

そしてバイクに跨ったままの
ひさぎに、ヘルメットを返す

「ありがとう

 じゃあ・・・」

一度も目を合わせる事無く
私は、ひさぎに背を向ける。

泣き顔を貴方に見られたくない

背中から聞こえる声。

「気をつけて帰れよ」

その寂しい声は、私の胸を貫く

「うん」

次に会う約束も何も無いまま
私達は別れた。

きっと、もう

終わり・・・
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