黒紅花
私は、泣きながら家へと続く
道のりを一人で歩く。

ひさぎと歩いた道のりを
一人きりで歩く。

好きでも

どうしようもない。

私の体は、過去の傷痕を
背負い、生きていく。

ひさぎを、あなたを
受け入れられない。

泣いてもしかたない。

『恋も愛も・・・
 
 そんなものいらない』

「恋なんてしなきゃ・・・」

私は、その場に立ち止まる

後ろから、私を抱きしめる
人がいる。

袖の捲くられた愛しい腕に
私は触れる。

貴方の体温に、私の体温
が重なる。

触れる・・・
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