黒紅花
狂いそう・・・

もう、何も聞きたくない

妹の涙を見たくない

俯き、両手で顔を覆う
ひさぎは、その手を後ろへと
滑らせ髪を掻き揚げ、途中で
止める。

そして、二人を睨み付ける
三白眼。

冷酷な瞳・・・

「でっ、どうすんの?」

何も、話さない二人

イライラが、募る

じれったい・・・

「お兄ちゃん・・・」

ひさぎは、黙ったまま席を立ち
キッチンから包丁を手に取り
祐樹の前に突き立てた。
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