黒紅花
「おじさんは、奥さんとは
 その・・・」

「きっと、別れないわ
 
 私達の関係を知ったヒサ兄
 は、今すぐ別れろと、そう
 ユウさんに言ったの
 
 彼は・・・」

『分かったよ、ヒサギ
 君の言うとおりにしよう』

なぎの瞳から、一粒、二粒
と、涙がこぼれていく。

「嫌だとユウさんに泣いて縋る
 私の姿に耐えられなくなった
 ヒサ兄は、そんな私を見たく
 ないと言った・・・」

『邪魔、しないで・・・
 お兄ちゃんには関係ない』

「私、ユウさんを自分だけの
 ものにしようだなんて
 想ってない
 
 振り向いてくれなくていいの
 
 彼に抱かれれば、それだけで
 幸せで愛の言葉も将来の約束
 も要らない

 愛などこの際どうでも良くて
 触れ合えるだけで幸せなの」
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