黒紅花
なぎの言葉が、詰まる。

「・・・ヒサ、兄
 
 何度、失敗しても、私
 
 やっぱり、温もりが
 欲しいよ・・・」

私は、泣き崩れるなぎの背中を
何度も何度も摩ってあげた。

「ヒサ兄

 帰ってきて・・・」


ここは、さむくて

つめたいよ・・・

僕を、だきしめてよ


私は、いつかの
ひさぎの言葉を思い出す。

『これは、俺の問題・・・』


ひさぎ、貴方も
なぎと同じ傷を持つ。

『温もりが欲しい・・・』

永遠の傷痕を持つ私は

愛する貴方を拒絶する。

愛する貴方を傷つける。
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