黒紅花
「それは、もう飲めないね
 
 新しいの頼もうか?
 
 すみま・・・」

「いい、水で」

ひさぎは、気分悪そうに胸元
を押さえた。

「大丈夫?」

「ああ
 
 寝てないから、頭がボーッと
 して、何仕出かすやら・・」

『寝てないから・・・』

『彼女と、したの?』

『ああ、ごめん』

「・・・

 全然、眠れなかったの?」

「いや
 朝方、少しだけ・・・

 嫌でも、これからのこと
 考えなきゃいけなくて
 眠れなくなったんだ」

「聞いたよ・・・
 ナギから、全部聞いた」

「そうか、だったら話は早いな
 
 俺、家を出たんだ
 
 あの家には、もう二度と戻る
 つもりはない

 汚ねぇ・・・」
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