黒紅花
貴方と放れてしまったら

また、貴方を見失いそうで

私、怖いの。

泣いてる私の頭を優しく撫でてくれる
ひさぎ。

「怒鳴って悪かった」

「あなたの傍にいたい」

涙を拭いながらそう呟く私のことを
ひさぎの両腕が優しく包む。

「わがまま言うなよ」

貴方の腕が、私の体を強く強く縛る。

「だって、傍にいたいもん」

私の耳元で小さく囁いた

貴方の頼りない声。

「おまえを帰したくない」

僕の傍にいてよ・・・

貴方は、傷ついた小さな男の子。

私が守ってあげたい。
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