黒紅花
貴方の唇は、私の首元にひとつ
耳元にひとつ、優しいキスを落とす。

そのキスに落ち着くことのない私に
襲いかかるのは、動悸にめまい・・・

遠くなる意識の中、聞こえてくるのは
ひさぎの甘い声。

囁いた、愛の言葉。

「チトセ

 おまえを愛してる

 大事にするから・・・」

愛するひさぎの言葉

ものすごく嬉しいのに

こんなにも悲しいのは何故?

それは、過去と重なる言葉。

『大事にする』

ハッハッハッ・・・

苦しい・・・

ひさぎの唇が私の胸元に触れる。

もう、だめ、嫌・・・

息苦しさ

嫌悪感、不安感
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