黒紅花
ううん、この傷は私だけのもの。

永遠に、この心に刻まれて
永遠に、この胸に残る。

絶対に、忘れちゃいけない。

忘れられるわけない・・・

苦しくてたまらない私は、言うの。

「言えない

 やっぱり、ムリ

 できない

 ごめん・・・」

『言えない・・・よ』

『むり・・・
 
 やっぱり、無理なの
 ごめんなさい』

『過去の傷に囚われたまま
 の私は、永遠に貴方とは
 結ばれない』

「チトセ
 
 おまえは、いったい
 何に怯えてる?」

震える、おまえの体

強く強く抱きしめても俺の心

虚しさが残るのは何故だ?

辛いのは、どうして?

「ひさぎ?」
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