黒紅花
ひさぎに背を向けて、ひさぎに
聞こえないように泣き声を堪え
涙を流す私の肩は震えてる。

言っても言わなくても関係は
崩れゆくのに

愛する人に全てを晒す勇気が
私にはない。

死ぬほど好きなのに、私は
ひさぎを守れないし

ひさぎを傷つけるだけの存在・・・

触れたいけど、触れられない存在。

私達は、結ばれない・・・

ヒック、ヒック・・・

布団に顔を埋める私に届いた声は
とても深く、とても優しい。

「もう、泣くなよ
 
 チトセが泣くと

 俺、つらい」

「ごめん・・・

 あっ、謝ちゃって
 ごめんなさい」

「フッ、バカ

 謝ったことを謝るなんて
 聞いたことねえよ

 おもしろいやつ」
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