黒紅花
ひさぎを

もっともっと近くに感じたい。

だけど、触れ合えるのは、ここまで。

抱きしめ合って眠る。

ここが、ギリギリのライン。

この距離、この温もりに甘えちゃいけない
ことを私は知ってる。

朝方、ひさぎより早く目覚めた私は眠る
貴方に問いかける。

そう、以前に問いかけた言葉を。

「ひさぎ・・・
 
 私が、どんな人間でも
 貴方は私の傍に
 居てくれる?」

眠ってる貴方からはもちろん返答はない。

だけど、貴方の答えはわかるよ。

だけど、それじゃいけないと思う。

私を抱きしめて眠るひさぎの手はどこか
ぎこちなく、遠慮気味で、きっと心から
安らげてはいないだろう。

貴方が心から安らげる場所に

私はなれない。

「ごめんね」

私は、瞳を閉じた。
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