黒紅花
ひさぎは愛しいバイクにそっと
触れた。

「ひさぎ
 あんまり無理しないでね
 
 自分のこと、大切にして
 
 あなたには、もう、これ以上
 傷ついて欲しくないの」

私を引き寄せて強く抱きしめた
ひさぎ。

「チトセ?」

「うん?」

「こんな弱い俺でも、お前は
 俺のこと好き?」

そう呟いた貴方の声は頼りなく、不安げ。

「うん、大好きだよ
 
 ひさぎ、貴方は弱くなんて
 ないよ

 とっても強い人だよ」

「強かねえよ・・・」

私は貴方を見つめ強い口調で言うの。

「ひさぎ、貴方は強いよ
 
 いろんなこと耐えて
 生きてきたんだもん
 
 ひさぎなら大丈夫
  
 これからの貴方のこと
 私は、ずっと応援してる」
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