黒紅花
放さない・・・

そう、言い放つ貴方はあの日と
同じ、怖い程に美しい。

私は、貴方の肩に両腕を回し
抱きついた。

「ひさぎ、愛してる」

「俺も愛してる」

私は貴方の耳元に囁くの。

「ひさぎ

 私の愛は

 あなただけのものだよ」

貴方は嬉しそうに、はにかんだ

その笑顔、忘れない。

「チトセ

 なぎの様子、教えて」

「うん」

「ほらっ、行った行った」

こうして、私達は別れ

校門を潜ると

ひさぎのバイクの音が聞こえ

そして遠のいて行く・・・
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