黒紅花
本当の私は、ずうっとここに
居たい。

そうひさぎ、貴方の傍に居たい

だけど、私は母の手を取った。

今だけの痛みならば、貴方は
いつか私を恨み、そして忘れる
時がくる。

だけど、私が貴方の傍に居続け
れば貴方を永遠に苦しめ傷つけ
る。

悲しい・・・

泣いている私の心に寄り添うよ
うに祖母は私に問いかけた。

「チトセ、何かあったのかい?
 彼かい?」

「彼って?
 チトセ、あなたまさか・・・」

母の疑惑の眼差し・・・

「ううん、違う、心配しないで
 私と彼は何でもないの

 ただの友達・・・」

「チトセ、この間はあなた
 確か・・・

 チトセ
 本当にそれでいいの?」
< 298 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop