黒紅花
私のホントの気持ちを知ってる
祖母の眼差しが、この胸に突き
刺さって痛いよ。

痛い・・

「お母さん・・・」

「アナタは黙ってなさい
 
 私は、チトセに聞いてるの
 チトセ?」

「いいの、もう、いい・・・」

私は、ひさぎを大切に守って
あげられない。

「そうかい、分かった
 
 新居には、いつ頃
 引っ越すの?
 
 彼は、何て?」

母は祖母の問いかけに暗い顔をした。

「お母さん、その話だけど
 私、アサハとは離婚するの」

「離婚って、うそっ
 パパとは話したの!?」

「ええ、昨夜
 遅くまで話して決めたの

 お互いの為にそうするのが
 一番いいって・・・」

祖母は声を荒げて言う。

「そんな大事なこと

 家族であるチトセを無視して
 アナタ達は勝手に・・・」
< 299 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop